Coaqbelle

2018年3月8日木曜日

The Ventures 2018-2

昨日 The Venturesの新メンバーについて色々と記載した。その後、Youtubeを漁っていたらLuke氏がすでに参加している動画があったので紹介していこう。


その前に軽くVenturesの構成のお話。
構成されるメンバーはほぼ4名。それぞれLead guitar(メロディ)、Rhythm Guitar(バッキング)、Bass Guitar(ベース)、Dram(ドラムス)で構成される。時代やライブに寄ってリードギターの人数が増えたり、キーボードが参加していたりと多少の変動はあるものの、大体の場合は上記のパートで演奏される。

当然ではあるが、Lead Guitarの演奏スタイルに寄ってバンド全体の感じが大きく変わってくる。歴代のLead Guitarと音色の特色(完全に自己論ですので悪しからず。)を紹介してみようと思う。

1, 初代 Lead Guitar --Bob Bogle--

The Ventures創設メンバーの一人(もう一方は Don Wilson)。全体的に丸い音を特徴とし、トレモロアームを駆使する。Nokie Edwardsが参加してベース担当になったため、Lead Guitarを担当していた時期は短いが、ライブではリードギタリストとパートチェンジして、鮮やかなメロディ位を披露。


初期はStratocasterやMosriteを多用していたそうだが、1990年以降はFender Jazz MasterやAria Bob Bogle modelを多用している(映像で演奏されている楽器は幻となりつつある、Fender Jazz master Ventures Signature model)。艶やかなメロディとクリーンな高低音は今も昔も聞き手をひきつけてやまなかったが、残念ながら2009年に逝去されている。

2,二代目 Lead Guitar --Nokie Edwards--

ベンチャーズサウンドを不動のものとした、伝説のギタリスト(日本でのライブのときはエレキの王様と紹介されていた)。Venturesに参加当初はBass Guitar担当であったが、Bob Bogleとチェンジし頭角を現す。当時高出力のMosrite Guitarから繰り出されるサウンドは世の人の度肝を抜いた。
Wipe Out! (1966)

彼の音楽的根源はカントリーミュージックであり、演奏スタイルはそれに準じる。サムピックをはめたフィンガーピッキングで流れるようなアルペジオは彼の得意の演奏スタイルである。それだけでなくプリングやハンマリングを駆使した高速演奏も彼の持ち味の一つである。
上述したMosriteに加えFender Telecasterを愛用していた。この頃の音調こそベンチャーズサウンドであると感じるが近年ヒッチハイカーノーキーエドワーズモデル(写真でNokie氏が持っているギター)になってからは非常に音が丸っこくなってしまっており、筆者としては物足りなさを感じてしまうようになった。

’Wipe Out' - 'Bulldog' - 'Sleepwalk'


このように緻密かつ豪快な演奏を武器に第一線で活躍されておられたが2016年をもって来日しての活動は終了しまったらしい。

3,三代目 Lead Guitar --Gerry Mcgee--

さて、本稿の主役。私が初めてVenturesを聞いた時のLead Guitaristです!
Nokieの脱退によって参加したのが始まり。彼の音楽性はブルースが基本であり、サウンドもブルースの味を色濃く出している、とは言えブルース・ロックにありがちな強く歪んだ音は多様せずクリーントーンの音をメインで使う。
上記の通り、ベンチャーズサウンドを確立したのはNokieであると行って間違いない。そのレパートリーをブルースマンであるGerryが演奏すると…得も言われぬサウンドが生まれるのである。
この聴き比べがVentures最大の楽しみなのだ!同じWipe out!もNokieとGerryのギターソロをぜひ聴き比べて欲しい。こんなに違う曲になるのかと驚かれるのではないだろうか。

The Ventures Wipe Out! (Gerry's Guitar Solo) 1990 Japan

こんなにエキサイティングなギターを炸裂させるかと思えば、先日記述したような日本歌謡曲を華麗に弾きこなす。

The Ventures --京都慕情 --(with Lead Guitar Gerry Mcgee) 1993 Japan

恐ろしく幅広い音楽性を持ったギタリストがGerry Mcgeeという人物なのだ!異なるジャンルがミックスされると大きく変化するのが音楽の面白さなのだが、Venturesはこの点が非常に強い。ある人は変革だ!と言い、ある人は前の方が良かった!ともいう。だけどそれこそが音楽なのだ。このポイントを踏まえていたVenturesの創始者たちはやはりレジェンドなのだな…と思う。だって採用する人間の音楽性でバンド全体の音楽の方向性が変わってしまうのだから。それを良しとし、受け入れ、発展させるのはかなりの勇気がいるはずだ。

筆者の一番好きな曲、1993年に収録。25年たっても少しも飽きが来ないのは、名曲である他に、彼の演奏がいかに素晴らしいかを物語る。

The Ventures --I believe what you say-- (with Gerry's Vocal) 1993 Japan

会場の客席を回りながら演奏するスタイルを取り入れたのもGerryの時代から。この頃からシールドに無線をつけることができるようになったことも重なり、間近で彼の超絶技巧を見ることができるようになった。

The Ventures --House of Rising Sun-- 1994 Japan

この、ただでさえ速弾きを行う曲を歩きながら、階段を行き来しながら演奏するのは想像を絶する難易度だ。ギターをお持ちの皆様もご自宅の階段を行き来しながら演奏されてみるといい、下手すりゃ怪我をする。
名演奏を残しながらも2017年に来日公演から退かれた…寄る年波には誰も勝てない…

4,四代目 Lead Guitar --Bob Spalding--

2004年にBob bogleが体調不良のため来日公演に参加できなくなったため、彼の代理として抜擢された。しかしbogleの逝去に伴い正式メンバー入り。The 5th Venture(5人目のベンチャーズ)の異名を取る。
彼の演奏スタイルはBogleとNokieの中間といったところであろうか?それもそのはず。1962年に日本でVenturesのライブを見て衝撃を受けたとされていることからうなずける。音楽性はロックンロールが主体。使用機材は参加当初はバンドイメージを崩さないためかAriaギターを使用、近年はJazz masterを使用していることが多い。

The Ventures (Lead:Bob, Bass:Gerry, Rhythm:Don Drams:Leon) 2009 Japan

上記はテレビの特番であるが、Spaldingのリードを楽しむことができる。音色と演奏スタイルがBogleのそれに非常に近い(近くしている?)事がわかる。

さて、ここで昨日見つけてきた動画であるが、

The Ventures (Lead Guitar is Bob Spalding)  Birchmere USA 2018

いかがだろうか。私にはNokieスタイルが色濃く出た演奏であると感じた。昨日も書いたが出で立ちとホールの雰囲気はJazzっぽい、が音色はベンチャーズサウンド…釣り合いが取れていない気がするんだがなぁ~

2015年にDon Wilson、2016年にNokie Edwards、2017年にGerry Mcgeeと歴戦の猛者たちが一線を退かれ、舞台経験の長い人はSpaldingとLeon Taylorだけになってしまった。ただ、Venturesのライブ活動履歴だけ見た場合8年ほどLeonの方が長い。
 何が言いたいかといえば、現在のVenturesは今までのVenturesとは良きも悪気も全く違うバンドなのだ。演者が違えばイメージが違うのは上記に書いたとおり。ほぼメンバーは変わってしまったと見るべきだろう。
このメンバーチェンジからどういったメロディが紡ぎ出されるのか、非常に見ものなのである。

※2018/03/08 15:53追記

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